CASE STUDY

事例

三井住友海上あいおい生命保険株式会社 様

個人保険・企業向け保険・個人年金保険など各種生命保険商品の販売、保険金の支払いなど

2,450名(2022年4月1日現在)

1996年8月8日

課題

  • Excelを使って手計算していたため手間が掛かる
  • 手作業では計算ミスが発生する可能性があり、担当者の心理的負担も大きい
  • 手順が複雑で属人化し、新たな担当者の育成も進んでいない

効果

  • ツールの導入により作業内容が簡略化され、費やす時間が3割ほど短縮
  • 計算過程などが可視化され、単純な計算ミスがなくなり、心理的な負担も解消
  • 使いやすいツールにより、属人化の解消も可能に

住宅ローンの利用者の多くは、返済期間中に死亡したり高度障害状態になったりしたときに備え、団体信用生命保険(団信)に加入します。

この契約を引き受ける保険会社は、保険金額が大きくなることから、複数の保険会社が協力し合う共同保険方式を採る場合が多く、三井住友海上あいおい生命保険株式会社でも、毎年、自社分の配当金を計算し、幹事の保険会社に伝えるという業務が発生しています。

この配当金計算業務の責任者である団体保険業務部 団体保険業務グループ 課長の磯山 千晶 氏は、その作業の大変さを次のように語ります。

「幹事会社からの回答期限にあまり猶予がなく、しかもシステム上で自動的に処理できないため、担当者2名がExcelを使った手作業に掛かりきりにならざるを得ません。そのため、担当者の通常業務は、ほかのメンバーに助けてもらいながら、なんとか間に合わせている状況でした」

結果的に、毎年発生する作業にもかかわらず、配当金計算の作業手順がそもそも複雑で、配当の仕組みも熟知している必要があるため、経験のないメンバーに引き継ぐのはなかなか難しく、属人化していることが以前からチーム内で課題となっていたのです。

また、Excelに組み込まれている計算式が専門的かつ難解で、もし作業中に誤って計算式を消してしまった場合には、団体保険業務部のメンバーだけではすぐに対処できないという問題もありました。

こうした課題を解決するために、作業を効率化するとともに、属人化を防ぎたいという議論が、2019年の4月ごろから始まりました。団体保険業務部 団体保険企画チーム 兼 団体保険業務グループの高橋 紗佳 氏は、「作業に慣れているわたしたちでさえ手順を間違えれば正しい結果が得られません。そこで、作業の効率化と属人化の解消のために、ツールの導入を検討することになったのです」と振り返ります。

そこで団体保険業務部では、当時、団体保険関連のシステムメンテナンスを以前から担当してもらっていたエム・イー・シーに対し、「開発中の保険金支払金額の集計ツールと同様に、配当金の計算についてもツール化できないだろうか」と相談しました。すると、すぐさま具体的な提案があり、コスト的にも見合っていたことから開発を進めることが決まりました。

「エム・イー・シーは、当社システムの運用・保守に協力してもらっていることもあり、団体信用生命保険についての業務知識も豊富です。今回のツールの開発に際しても、あらためて詳しく説明するまでもなく、現状の問題点を的確に把握してもらえましたので、安心してお任せすることができました」(磯山氏)

開発は順調に進み、2020年の春先にはツールのプロトタイプが完成。さっそく磯山氏と高橋氏に加え、この業務に携わったことのないメンバーにも機能や操作性を検証してもらい、属人化解消に向けた布石としました。

こうして準備を整えた上で、2020年4月末に配当金計算の時期を迎えましたが、新型コロナウイルスの感染が拡大したことで状況が大きく変わりました。まず、多くの社員が在宅勤務に移行していたため、例年のように、ほかのメンバーに通常業務を肩代わりしてもらうことが困難でした。しかも、作業開始予定日には、高橋氏がたまたま体調を崩してしまったこともあり、磯山氏が一人で、作業をせざるを得ない状況に陥ってしまったのです。

「思い切ってツールで作業を始めると、操作方法は分かりやすく、不明点についても、連休中にもかかわらずエム・イー・シーさんに丁寧に対応していただき、とても助かりました。通常業務と併行しながら一人での作業となりましたが、おかげでなんとか対処することができました」(磯山氏)

実際に運用した結果、予想以上にさまざまな効果が得られることが分かりました。

  • 従来に比べて短時間で作業が完了できるようになりました。計算結果が一致しなかったときにも、原因を素早く特定でき、スムーズに対処することが可能です。
  • Excelによる手作業とは異なり、計算過程なども可視化されているため、単純な計算ミスがなくなり、心理的な負担も解消されるようになりました。
  • 作業内容が簡易化され、新しい担当者に作業を引き継ぐことも容易になり、属人化を解消する目処がつきました。
  • Excelとは異なりメンテナンスが容易であり、安心して運用を続けられるようになりました。
  • マティリアルデザインと呼ばれる画面の採用により操作は簡単で、マニュアルも分かりやすく、正確な作業が可能になりました。

「例えば、データをコピー&ペーストする際も、手順に従って何をどこに入力すればいいのかはっきりと示されるため安心して操作できます。作業時間も、体感的には少なくとも3割は短縮されたと思います」(高橋氏)

こうして2020年度における配当金計算作業は、コロナ禍の中で在宅勤務を強いられながらも無事完了しただけでなく、属人化の解消も可能になり、新担当者の育成も弾みがつくことになりました。

また、今回の成果を踏まえて、新たなツールの導入の検討も始まっています。

「わたしたちは、配当金計算とは別に、システムからデータを取り出して、それをAccessで読み込んでレポートを作成するという業務も担当しています。ところが、そのAccessデータベースの作成者は既に退職していて、残ったメンバーで解析するのも難しく、メンテナンスが容易にできない状況です。そこで、今回のようなツールを開発できないか検討しているところです。ツール化の承認が得られたときには、ぜひ、エム・イー・シーさんに協力してもらいたいと思っています」(磯山氏)

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