クラウドファイルサーバ on Oracle Cloud 導入事例
アメリカン電機株式会社 様
「コスト」「使い勝手」「品質」のバランスの良さから導入を決断
課題
- クラウド化してもブラウザ主体の操作方法では利用者が納得しない。
- 定期的なサーバのハードウェア更新作業などの負担を軽減したい。
- ファイルサーバの保守・運用のコストを削減したい。
効果
- オンプレミスとまったく変わらない操作性と使い勝手を実現。
- ハードウェア更新作業がなくなり、担当者の負担を大幅に軽減。
- Oracleならではのクラウドサービスにより、保守・運用コストを削減。
きっかけは基幹業務システムの見直し
配線器具メーカーのアメリカン電機株式会社は、1926年に創立し、米国製配線器具の輸入販売から事業をスタート。今日では、国内はもちろん東南アジアなどでグローバルなビジネスを展開しています。
同社の技術部では、自社製品の設計・開発を担当する一方で、部長の小池 俊輔 氏や係長の稲葉 大介 氏は、情報システム委員会の委員長および委員として、社内のIT化についても活躍しています。
「当社は、企業規模の関係もあって情報システム部門がありません。その代わりに情報システム委員会を設置して、技術部や営業部などの各部門から委員を募り、情報システムの企画・立案から運用・管理までを行っています」(小池氏)。
委員会のメンバーは、スクラッチで構築した基幹業務システムを社内に設置したオフコンで運用するとともに、Windows Serverによる基幹業務システムとの連携処理や、ファイルサーバの運用を担当してきました。とはいえ、社内でシステム運用を続けることは、メンバーに本来業務に加えてさまざまな作業を強いるだけでなく、BCP(Business Continuity Plan)の観点や、定期的なハードウェア更新といったコスト面でも大きな課題となっていました。
まずはOracle Database、さらに
ファイルサーバのクラウド化も実現可能に
そこで2015年5月から、脱オフコンや脱オンプレを目指して検討を進め、まずは脱オフコンに向けて基幹業務システムのOracle Databaseへの移行が決まりました。
「当初はOracle Databaseをオンプレのまま運用するつもりでいましたが、調べてみるとOracle CloudのDatabase Serviceを利用することで大きなコストメリットが得られることが分かりました。しかもクラウド移行により運用負荷の軽減も期待できるため、単に脱オフコンを目指すのではなく、脱オンプレに大きく舵を切ることになったのです」(小池氏)。
しかしクラウド移行には問題がひとつありました。
「当社では基幹業務システムから出力している帳票をファイルサーバで管理していることから、ファイルサーバも一緒にクラウド化したいと考えました。そこでオンラインストレージサービスの導入を検討したのですが、Webブラウザでの操作が主体となるSaaSへの移行は、使い勝手の点で利用者に納得してもらうのが難しそうだったのです」(小池氏)。
この悩みを、オラクルの営業担当者に漏らしたところ、解決策として紹介してもらったのがエム・イー・シーの「クラウドファイルサーバ on Oracle Cloud」でした。このサービスは、Oracle Cloud上にファイルサーバを構築するというものであり、オンプレのファイルサーバと同じように利用できるだけでなく、他のクラウドでは従量課金となるネットワーク費用もほぼ発生しないなど、さまざまなメリットがあります。
「まさに目からウロコでした。この仕組みならコスト面は期待以上の削減が可能ですし、利用者にとって使い勝手がまったく変わらないという点は魅力的でした」(稲葉氏)
ユーザーに寄り添った提案、対応でスムーズな移行が実現
こうして2020年2月には、オンプレのファイルサーバとActive Directoryサーバをクラウドファイルサーバ on Oracle Cloudへ移行することが決まり、ルーターなどの設定変更などのためにネットワークベンダーと調整を行うことになりました。
「当社とエム・イー・シー、ネットワークベンダーの三者で何回か打ち合わせを持ちましたが、エム・イー・シーの担当者が当社に寄り添う形でてきぱきと話を進めてくれたおかげで各社が納得できる結論に達することができ、本当に助かりました」(小池氏)。
その後の構築作業も順調に進み、基幹業務システムのクラウド移行に先立って、4月からクラウドファイルサーバ on Oracle Cloudの運用がスタートすることになりました。
BCP対応や運用負荷軽減、コスト削減などを実現
運用開始後は社員の評判もよく、想定以上に社員の利用があるため数回にわたって容量を増やしたほどです。基幹業務システムとの連携については今後の取り組みとなりますが、既に次のような手応えを感じているとのことです。
- BCPへの対応
オンプレでの管理に比べて、担当者の安心感が格段に向上し、精神的なプレッシャーも払拭されました。障害時の復旧時間も大幅に短縮される見込みです。 - 運用負荷の軽減
オンプレのサーバ運用が不要になり、ハードウェアの定期的な更新もなくなるため、担当者の負担が軽減されます。 - コストの削減
ハードウェアの定期更新がなくなり、コストを大きく削減できます。また、サーバを社内で維持管理するためのコストも一掃されます。
「基幹業務システムの帳票の出力先としてクラウドファイルサーバを考えていましたが、当然ながら、通常のファイルサーバとしても利用できます。そこで、技術部や工場で利用する図面データや、営業部門などの各種ドキュメント類なども扱っていきたいと考えています」(小池氏)。
手厚い対応に満足、今後の提案にも期待
基幹業務システムの脱オフコンからスタートした今回のプロジェクトは、結果的に、Windows Serverを含めた全社システムのクラウド化につながりました。
「今回のプロジェクトでは、エム・イー・シーならではの魅力的なサービスと、Oracle Cloudという低コストなクラウドの合わせ技により、予想以上の成果が得られました。導入に際しても、エム・イー・シーから詳細な手順書の提供を受け、ノウハウをここまで公開してしまって大丈夫なのかと心配になるほどでした。しかし『長い目で見れば、それがエム・イー・シーのメリットにもつながる』というお話を伺い、そうやって自社の価値を高めていくというエム・イー・シーのビジネスの考え方にも感心しました」(小池氏)。
「どんな内容の問い合わせにも気楽に応じてもらい本当に助かりました。プロジェクト後も気軽に相談できるようなサービスメニューの提案を期待しています」(稲葉氏)。